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インド市場への挑戦 part.1
ー山九がインドで選ばれる理由ー

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14億人と世界最大の人口を抱え、2027年には世界第3位の経済大国となることが予測されているインド。製造業の躍進と中間層の台頭により、かつてない成長期を迎えています。

自動車、電機、工作機械など、幅広い業種で欧米やアジアのグローバル企業が進出を加速する中、日本企業も積極的な投資を続けており、インドは世界有数の製造拠点としての地位を確立しつつあります。

インドで事業を展開する際には、効率的な許認可の取得、現地の実情に合わせた人材マネジメント、そして厳格な品質管理といった取り組みが求められます。こうした環境の中で、山九は2008年のインド進出以来、日系企業の工場立ち上げから日々の操業支援に至るまで、山九品質と現場力を武器にインドの製造業を支え続けています。



第1回では、世界最大の成長市場インドにおける山九の取り組みをご紹介します。


1. インドの成長性 ー世界が注目する巨大市場ー


アジア有数の経済成長を続けるインド。2024年のGDP成長率は7%と予測され、これは先進国や主要経済国を上回る水準です。今やインドは、世界経済の新たな成長エンジンとして大きな存在感を放っています。この成長を支えているのが、豊富な若い労働力。インドの人口の7割近くが生産年齢人口(15歳から64歳)であり、その比率は2030年まで増加し続けると見込まれています。ITからものづくりに至るまで、高度な技術教育を受けた人材が豊富に存在することも大きな強みです。

また、製造業の分野では、「Make in India」政策のもと、外資規制の緩和や投資優遇措置が実施され、自動車、電機、工作機械など、世界の主要メーカーが続々と進出を決定しています。すでに約1,400社(4,900拠点)の日系企業が進出しており、コロナ終息後の2023年以降、その動きは一層加速しています。

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出典:在インド日本国大使館「インド進出日系企業リスト2022」をもとに
日本ビジネスアート株式会社作成

一方、高速道路や港湾の整備、産業用地の造成といったインフラ投資も急速に進展しています。豊富な人材、積極的な産業政策、そして拡充するインフラ――これらが三位一体となり、インドを世界の製造業にとって最も魅力的な投資先の一つへと押し上げているのです。

2. 山九インドの事業展開 ーインドにおける日系製造業の成長とともにー

こうしたインドでの日系製造業の発展を支えてきた一社が山九です。2008年の進出以来、インド各地の拠点整備を着実に進め、現在では北部のデリーから南部のチェンナイまで、10拠点にわたるネットワークを構築しています。

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山九は、製造現場で求められる多様なニーズに応えるため、幅広いサービスを展開しています。工場立ち上げ時には、重機や設備の輸送や据付を行い、立ち上げ後には保守管理から、原料や部材の輸入と生産された製品の輸送や輸出業務、倉庫業務といった物流業務まで行っています。更に、数百名の作業員を要する生産ラインの運営支援まで、工場の建設から運営に必要となる全てサービスをワンストップで提供しています。


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これらのサービスにより、工場の生産スケジュールと連動した物流体制や24時間体制の部品供給オペレーションを確立。さらに、急な増産要請にも柔軟に対応し、現場が抱える多様な課題の解決に大きく寄与してきました。

3. エリア戦略と人材育成 ーインドものづくりの課題に向き合うー

インドで製造業が成功するには、30%と言われる高い欠勤率をカバーできる安定した人員体制の構築が不可欠です。

山九はインド全土で477名の正社員と約1,150名の派遣社員による体制を整え、ある地域では24時間365日の安定操業体制を確立。生産計画の変更や繁忙期の増産要請にも柔軟に対応できる体制を整えています。


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倉庫内で仕分けなどを実施

特に、インド南部にあるスリシティなどの特定のエリアでは約500名の人員体制など経営資源を集中させています。そうすることで、周辺の製造現場で欠勤者が出たり、突然の増産が必要になったりした際にも、応援要員をすぐに派遣して稼働率を落とさずに済む仕組みを構築しています。

また、こうした大規模な動員力を保有することは現地での信頼性や次のクライアント獲得にもつながっています。実際に、インドでこれまで支援できていなかった他の日系製造メーカーからのコンペティションの際に、別の案件やクライアントでの実績があることで、大規模な人員を臨機応変に派遣できる点が評価され、受注につながりました。現在はインドの北部と南部の2カ所でも支援が進んでいます。


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人材育成面でも、キャリアアップに高いモチベーションを持つインド人スタッフの特性を活かし、人事制度の整備や評価制度の確立、競争力のある給与体系の導入などを実施。その結果、インドでは珍しく10年以上の勤務経験を持つスタッフも在籍する安定した体制が築かれています。

4. 品質管理と現場改善 ー日本式ものづくりの実践ー

品質管理においても山九は、独自のアプローチを貫いています。一般的な日系物流企業がM&Aを通じて現地パートナーと連携する中、山九は日本のノウハウを直接活かせる独自の体制構築を選択。日本で培った改善活動や品質管理のノウハウを、日本人スタッフが現地スタッフと直接共有しながら、インドでの事業基盤を確立しています。

日本の品質基準に沿って、作業手順の標準化や安全管理の徹底、現場からの改善提案制度の導入など、日本のものづくりの基本となる取り組みが着実に根付いており、クライアントからも評価されています。

生産変動の激しいインド市場において、日本式ものづくりの考え方を基盤としながら、インドの製造現場に適した独自の方法が築かれています。


5. これからのインド市場と山九の展望


インドの製造業は今後もさらに成長が加速すると見込まれています。日系企業が現地進出を検討する際には、工場用地の選定、各種許認可の取得、人の確保など、事業立ち上げに向けた多岐にわたる準備が不可欠です。

山九はインドで豊富な実務経験を積み上げてきました。その経験を活かし、物流業務だけでなく、工場立ち上げの具体的な進め方、各種許認可の申請プロセス、さらには現地での人材育成の仕組みづくりに至るまで、実践的なノウハウを新規進出企業と共有しています。単なる手順の説明に留まらず、実務レベルで具体的なアドバイスができる点が、山九の大きな強みとなっています。

山九は日系の製造業とともに、この成長市場で新たな可能性を追求する一歩を踏み出しています。

第2回では、インドの衛生用品市場で急成長を続けるユニ・チャーム様の生産現場を支える山九の取り組みをご紹介。24時間体制での生産支援、現地に根ざした人材育成、そして安全・品質管理まで、製造現場の最前線で行われている具体的な取り組みについてお伝えします。