社会/social
従業員とともに
人財ビジョン
人権尊重
山九グループは、事業を通じて社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。従業員はもとより、地域住民、サプライチェーン、ビジネスパートナーなど、事業活動で関わる全ての人々の人権尊重を経営の基盤と位置づけて、「人を大切にすること」という経営理念のもと、「山九グループ人権方針」を策定しています。グループ内外における人権侵害リスクの管理と適切な対応を推進し、同時に、地域社会の一員として、本業を通じた貢献に加え、次世代人材を育む活動、スポーツ振興、安心して生活できる環境づくり、地域の暮らしに寄り添う支援など、各地域のニーズに応じた社会貢献活動を展開しています。
2024年度の人権尊重活動
2024年度は、国際規範をベースに人権に関するアンケートを作成し、それを国内部支店、関係会社、海外現地法人の各拠点で実施しました。その後、アンケート結果の集計・分析を経て、より詳細な確認が必要だと考えられる拠点には、ヒアリング等を通じて実態を把握しています。今後、人権デュー・ディリジェンスを体系的に継続していくための体制の整備、当社グループが取り組むべき課題の特定に向けて努めていきます。
今後の人権尊重活動
今後は以下を目標にして継続的な人権尊重活動に取り組み、人権意識の向上を図っていきます。
その他の取り組み
- 人権関連の国際規範、国内外の法令、山九グループ人権方針の周知・浸透に向けた研修の継続実施
- 人権関連の情報開示に関する他社動向の調査
- 人権週間における各種人権尊重活動の継続実施
ハラスメント防止
当社グループは行動規範において文化・宗教・価値観の違いを正しく認識し、コンプライアンス基本方針において「差別・ハラスメントのない公正で明るい職場風土を作るとともに、健全な職場環境の保護に努める」と定め、一切の差別を禁止し、ハラスメント防止宣言を掲げて活動しています。
ハラスメントに関する取り組みとして定期的な周知活動を実施し、発生した場合は社内外に設けた相談窓口において適切に対応をしています。
ダイバーシティ
当社グループは人が財産であり、持続的な発展をするために多様な人材の多彩な活躍が重要と考えます。性別、年齢、文化、宗教、価値観など異なるバックグラウンドや能力を持つ社員が活躍できる環境を構築し、多様性を尊重し受け入れる企業風土の醸成を進めていきます。
(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)宣言
(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に向けて~
山九グループは1918年の創業以来、様々な事業環境の変化に対応しながら常に世界中で社会を支えてきました。
これからも、社会に必要とされ続ける企業であるためには、新しい価値を創造していくことが必要不可欠となります。
そのためには、多様な※人の声に耳を傾け、様々な意見を受け入れながら、新しい価値を創造できる職場づくりと、
皆が公平に活躍できる基盤整備が重要な課題であると考えます。
山九グループにとって、価値を生み出す最大の原動力は「人」であり、
魅力あふれる社員一人ひとりが能力を最大限に発揮し合うことで、山九グループの力は無限大∞に広がります。
私たちはパーパスとして“心に「Thank you」を、世界の産業に山九を。”を掲げ、人の力を推進力として、常に相手に寄り添う気持ちを忘れることなく、世界の産業とその先にある暮らしを支え続けます。
山九グループにとって何よりも大切な「人」の力の最大化を実現するために、
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進することをここに宣言し、誰もが自分らしく輝けるグループを目指します。
※ 性別、年齢、国籍、人種、文化、宗教、障がいの有無、性的指向、働き方、価値観などに限らず多様な考え方や経験も含みます。
宣言日 2025年6月1日
山九株式会社
代表取締役社長CEO
社員のみなさまには、山九グループDE&Iをより身近なものとして考えてほしいという思いから、「共有したい3つの取り組み」として、山九グループDE&Iの取り組みの方向性を示す基本方針を展開しております。
共有したい山九グループの目指す姿と3つの取り組み
山九グループの社員一人ひとりが、 仕事や働く職場を通じて幸せだと感じられる会社を目指します。
その実現に向けて、以下の山九グループDE&I基本方針を掲げ、推進します。
- 一人ひとりが自分らしく活躍できる環境づくりを推進します
- 多様な考えを受け入れ、自由に発言し合える職場をつくります
- 「ありがとう」の気持ちがあふれる、魅力ある会社にします
女性が活躍する職場づくり
女性の活躍推進は取り組まなければならない課題の一つと捉えています。女性が活き活きと働けることが企業の力を高めるだけでなく、お客様をはじめとする社会の多様なニーズに応えることにもつながると考えています。2014年に「なでしこプロジェクト」を立ち上げて以降様々な施策を展開しており、2030年度の女性管理職比率11.0%を目標とし、管理職候補者へのキャリアデザイン研修等を企画して女性社員の活躍を促進していきます。
また、ダイバーシティ研修の実施に加え、女性社員が活躍できる職場風土を作るため、上司の意識・言動改革と女性社員自身の意識を変えることの両面からアプローチしています。女性技能系社員については数年前より活躍推進の取り組みを開始し、部支店での雇用事例の水平展開、職場環境の整備等に取り組んでいます。
シニア世代の活躍
2021年に定年を60歳から65歳に延長し、シニア世代の活躍を積極的に推進しています。当社の強みである「技能・技術力」においての重要な人的資本であり、次世代への技能・技術力の伝承・担保も図っています。
障がい者雇用の推進
障がい者の雇用機会を積極的に創出し社会的自立を支援していくことを目的に、2007年に特例子会社として株式会社サンキュウ・ウィズを設立。障がい者雇用を積極的に推進しています。
事業所は本社営業所、PC事業部、北九州営業所、平戸営業所からなり、当社グループで使用するPCのキッティングやデータ消去作業、ドキュメントの電子化や本社ビル・九州ビルでのカフェ運営、清掃、メール便集配など多岐にわたる業務を担っています。
また、朝礼や勉強会等を通じて一人ひとりが活き活きと働けるように育成を行うと共に精神保健福祉士の有資格者を配置して社内の相談体制を充実させています。
働きがいのある職場づくり
ワークライフバランス
ワークライフバランスおよび健康増進を目的として2017年に長時間労働改善委員会を発足し長時間労働の適正化を図っています。業務効率化に取り組む一方で、全社員共通の出退勤システムを利用した時間管理や勤務間インターバル制度の導入、年次有給休暇の取得率向上等にも取り組みながら社員の労働負荷適正化に努めています。
直近の制度変更
- 年間所定労働時間の見直し(2022年度)
- 初任給水準・賃金水準の見直し(毎年度実施)
- 年次有給休暇付与日数の見直し(2023年度)
- 生活支援一時金の支給(2023年4月)
- 奨学金支援制度の導入(2024年4月)
社員コミュニケーションとエンゲージメント向上
当社グループにとって、最も大切な経営資本である「人」を確保・育成することは、最大の課題です。多様な人財が活き活きと働ける職場をつくるため、柔軟な働き方が可能となるよう人事制度を見直し、やりがい・働きがいの醸成を図ります。また各事業分野において、この会社なら成⾧できる、と感じてもらえるよう育成体系を再整備し、グローバルな事業展開を見据えた最適な要員配置と流動化を推進していきます。日本の育成拠点に加え、海外育成拠点の拡充など多様な人財が世界で活躍できる仕組みを構築していきます。
エンゲージメント向上に向けて
当社グループにとって、最も大切な経営資本である「人」を確保・育成することは、最大の課題です。多様な人材が活き活きと働ける職場をつくるため、やりがい・働きがいの醸成を推進しています。2024年10月~11月に実施した2回目の「山九働きがい診断」では、前年と比較して9割の設問で前向きな回答の割合が増加しており、引き続きエンゲージメント向上に向けた施策の推進に努めていきます。
各種対話活動の実施
コミュニケーションをとりやすい関係性に加え、当社の強みや事業の意義を認識し、会社や業務に対する誇りを感じられていることが働きがいの向上に影響していると考えられるため、以下の取り組みをしています。
- ● 「山九MIRAI対話」の実施
働きがいや仕事のやりがいについて意見を交わす経営幹部との対話活動を、各拠点で順次実施しています。
- ● 「相互理解タイム」の実施
上司と部下の相互理解と信頼関係の向上を目的とした1対1の対話活動を各部支店にて順次実施しています。
- ● 各拠点独自の取り組み
上記以外にも、面談力向上研修、対話機会の創出、キャリア支援ワークショップなど、職場づくりや成長支援に向けた拠点ごとの多様な取り組みを進めています。
社員イベント
新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行にともない、自粛していた社員イベントの開催を復活させました。これにより、本社および各エリアでお客様を交えて行うフットサル大会やネーミングライツをもつ女子ラグビーチーム「東京山九フェニックス」の応援観戦、支店別のレクリエーションの実施などで社員間のコミュニケーションを促し、よりよい職場環境の構築に役立てています。
人材育成
人材育成体系
業務に必要な技能・技術力の習得だけでなく、一人ひとりの能力を最大限に発揮するために教育体系に基づく研修および自律的なキャリア構築を支援する制度を導入しています。
グローバル人財育成の各種研修制度
海外でも日本と同様に「いつでも、どこでも、山九品質」を実践するには海外の現地採用社員を含めた育成が必要です。
グローバルで活躍できる人材集団の拡大に向けて語学力の底上げだけでなく、グローバルで活躍する上で求められる「リーダーシップ、アサーション能力、グローバルマインド」についてもレベルアップを図っています。
各種研修制度には人事部主催の国内外での語学留学、事業本部主催の海外OJT研修、現地採用社員マネジメント研修等を設けています。
研修施設の充実
当社グループは人材育成に最も重点を置くため、国内外に研修施設を有して教育の充実を図っています。長期にわたる階層別研修および技能研修の計画的な実施を通じて技能・技術力を習得するだけではなく徳育教育も行っています。
研修施設の紹介
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山九平戸錬成館
2024年度研修受講者延べ5,327名
1968年、創業50周年を記念して創業者の生誕地である長崎県平戸市に設立。当社グループ社員を対象とする階層別研修を実施し、豊かな人間性と高い専門性を備えた人材の育成に成果を上げています。
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東日本・西日本能力開発センター
2024年度研修受講者延べ12,729名
1977年千葉県君津市、1966年福岡県北九州市に設立。機工事業において必要となる仕上、製缶、溶接等の技術を中心に実技・座学研修を行い、熟練した高技能集団の育成に加えハイテク技術に対応できる先進的技術者の育成を目指しています。
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山九メンテナンスセンター
2024年度研修受講者延べ1,136名
2011年千葉県市原市に設立。当社に欠かせないメンテナンスの技能育成拠点として座学と実機を用いた体感・実技研修を行っています。さらなるサービスの高度化を狙い、海外の人材育成センターと連携してグローバルに活躍する技能集団の輩出を目指しています。
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山九テクニカルアカデミー(マレーシア)
2024年度研修受講者延べ1,489名
2022年、マレーシアのジョホール州に設立。各国の現地採用社員に溶接・機械加工等の技能研修や安全・品質教育を実施し世界で活躍できる人材を育成しています。また、アジアのリクルート拠点として、採用から教育・訓練まで対応。輩出した人材が事業を担っていくことを目指しています。
サウジアラビアにおける人材育成とメンテナンス拠点
「山九サウジアラビア メンテナンス&ヒューマンリソース・ディベロップメントセンター」開設
山九サウジアラビアは2025年4月10日、東部州ジュベールの工業団地内に「山九サウジアラビア メンテナンス&ヒューマンリソース・ディベロップメントセンター」を開設しました。マレーシアに続く海外2拠点目の人材育成施設です。敷地面積2万2,095平方メートルに研修施設付き事務所棟1棟とワークショップ棟4棟を配置。石油・石化プラントが集積するジュベール地域の立地を活かし、回転機・静機器・バルブのメンテナンス、配管製作、製缶等に対応します。人材育成では、世界各国から社員を受け入れ、基礎教育、技術・技能教育、安全教育を実施。熟練技術者から直接学べる環境を整備し、世界で活躍できる人材の輩出を目指します。将来的には中東地域で2,000人規模の施工体制を構築し、大型プロジェクトへの対応力強化を図ります。
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事務所棟内観
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研修棟内観
労働安全衛生
安全への基本的な考え方
当社グループは常に人を大切にする会社であることを目指しています。その根幹となるのは当社の事業に関わる全ての人とその家族が一人でも多く幸せを感じることであり、「安全」はそのための最優先されるべき条件であると考えています。
安全衛生方針に示すように私たちの職場には「そもそも安全な状態は存在せず、常に存在するのは危険な状態である」という認識のもとで常に問題意識を持ち続け、山九グループのみならず協力会社を含む社員全員が一丸となって危険な状態を排除する知恵や工夫を現場に反映させることが重要だと考えています。また、そのような安全活動、管理ができる人財を育て安全文化を継承することで真に「人を大切にする」組織を作っていきます。
海外に展開している事業も含めグループ全体としての安全管理をさらに深化させていきます。
山九労働安全衛生マネジメントシステム(SSMS)
1971年に制定した安全管理規程に全社安全衛生管理体制を定めてグループ一丸となって活動に取り組んでいます。厚生労働省の指針(OSHMS*1)をベースとした「山九労働安全衛生マネジメントシステム」を策定し2003年から導入しています。
従来の活動に加え組織的な安全管理活動を構築し、安全衛生管理3か年計画を策定し目標達成に向けて取り組んでいます。
*1 Occupational Safety and Health Management Systemの略。
全社安全衛生管理体制基本組織図
第13次 安全衛生3か年計画
(2024~2026年)
【基本方針】
安全基本行動5原則の遵守により重大災害と重篤な休業災害を撲滅する
【目標】
重大災害:ゼロ
【目標値】
5原則違反による重篤災害:ゼロ
5原則違反撲滅による目標度数率:0.3
【重点実施事項】
1. 安全基本行動5原則(+1)の遵守
2. リスクアセスメントによる本質安全化対策の推進
3. 従業員の健康づくりの推進
4. 労働災害発生時の適正な対処
安全基本行動5原則(+1)
- 1. 高所でのフルハーネスの完全使用
- 2. 開口部は速やかに塞ぐ
- 3. 稼働設備内へ立入時の動力源遮断
- 4. 回転体には手を出すな
- 5. 吊り荷の下に入るな・近寄るな
- +1. 上記を確認するための指差呼称の徹底
安全衛生教育
法律および当社で定めた安全衛生教育実施基準により、階層別安全教育や安全管理能力向上に資する各種教育を年間計画に沿って実施しています。
安全衛生教育体系図
社会環境変化に対応した
労働災害防止に向けた取り組み
安全を取り巻く様々な社会環境の変化に対応するため、類似災害防止活動を柱とした日常の安諸活動に加え、IoT、DXやAIなどの先端技術を有効活用した本質安全化対策を展開中です。作業者自身の行動変化だけではなく危険の源そのものをなくすといった本質的に安全な環境を構築する取り組みを推進しています。
安全衛生教育体系図
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AIによる墜落・転落防止システムの開発
AI搭載のエッジカメラ、エッジコンピュータを現場に導入し、足場のような高所で作業する作業者(人)を検知し、その作業者がフルハーネス型墜落制止用器具を適切に使用しているか(フックを掛けているか否か)をカメラ映像からAIが判断し、適切に使用していない場合には管理者に通報されるシステムを開発し、現場で試行中です。
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フォークリフトと人(物)との接触防止策
これまでは人と車の作業領域の分離に加え、フォークリフトへのライト取り付けによる作業者に対する注意喚起、作業者が保持するタグを検知してフォークリフトオペレーターに対する注意喚起といった対策を講じてきましたが、人が光・音に順応してしまう問題がありました。そのため、さらなる対策として「人(物)を検知したら、フォークリフトの動力源(バッテリー)を管制して速度を低下させる」といった技術の導入準備を進めています。
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VRを用いた安全教育の推進
作業者一人ひとりの行動変化につながる安全教育手法の一つとしてVRを活用しています。導入にあたり「新技術の功罪」、「教育への応用要領」、「システムの実用性」、「効果的な教材開発」について研究を重ね教材を作成しています。教材では労働災害の型に焦点を当て、過去の労働災害をベースにシナリオを構成し、受講者が指導事項を実践する必要性をしっかり受け止めることを狙いとしています。また全ての教材は「体感シーン」、「客観シーン」、「教訓」の三部構成で危険感性と守るべき規則を理解し共有できる内容としています。現在30の部支店に展開しており、工事現場での入構教育や類災防止教育などに活用され安全意識向上に寄与しています。
労働災害の発生状況
度数率

強度率

従業員の健康推進
当社グループ従業員の心と体の健康増進を図るために健康保険組合と連携した支援を行い、グループ全体で健康管理の仕組みづくりに取り組んでいます。
心の健康については毎年ストレスチェックを行い、その結果を受けて改善活動を実施しています。2022年からは高ストレス者比率が高かった部署の全員に対し外部機関による個人面談を行い、その部署の管理者にワークショップを行うことで健康リスクの低減に取り組んでいます。体の健康については健康診断受診を必須とし、有所見者に対しては上司が再検査受診を促すフォローアップを行っています。また、健康に関して無料相談ができる「山九・心と体の健康相談24」を設置して24時間の電話受付とカウンセリング受診が可能な仕組みを整備しています。